語り継がれて変化する
伝説は人々に語り継がれてきたお話しです。そのため、語り手や地域の影響を受けて、お話しの内容が少し変わって伝わることも、少なくありません。
オヒア・レフアの伝説にも、幾つかの異なるバージョンがあります。
それでは、具体的には各バージョンでどんな風に違うのでしょう?
ここでは1例として、①Schlosserさんと ②Neubauerさんのバージョンを比べてみましょう((*1),(* 2))。
大きな違いは2ヶ所、(A)女神ペレがオヒアを誘惑する場面、そして(B)天の神々がレフアを救う場面です。
(A)女神ペレがオヒアを誘惑する場面
①では、女神ペレが美女の姿でオヒアを誘惑して失敗した後、愛妻レフアが登場します。
そのため、女神ペレに夫婦間の強い愛を見せつけることになりました。
しかし②では、レフアはこの場面に登場しません。
一方、女神ペレは美女の姿でオヒアを誘惑して失敗した後も、まだあきらめません。
今度は、女神に姿を変えて再びオヒアを誘惑しますが、それも失敗に終わりました。
(B)天の神々がレフアを救う場面
①では、天の神々はレフアを赤い花に変えます。
しかし②では、初めにオヒアを人の姿に戻そうとします。
ところが、ペレの魔力が余りにも強力だったので、天の神々の力でも解けません。
そこで次善の策として、神々はレフアを赤い花に変えました。
内容の差を楽しむ
このように、2つのバージョンを比較すると、若干の差が見られます。しかしその差は大きいものではなく、お話し全体の展開に変わりはありません。
幾つかのバージョンを読み比べるのも、楽しいかも知れませんね。
(終わり)
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(注記)
(*1) S.E. Schlosser: Pele's Revenge, A Hawaii Legend, Myths & Legends/ American Folklore.
(*2) Mike Neubauer: The Lovers: Lehua and Ohia./ Articles/ The Earth Trot Project.