021 民話 ナウパカ(4.1つの花を分かち合う)

(前回からの続き)

天の神に祈願する

高僧の教えを受けたナウパカとカウイは、さっそくプウホヌアの神に祈願することにしました(*1)。

厳(おごそ)かな雰囲気の中で、2人は神の前に深くひざまずき、両手を合わせると心の限り祈り続けました。

すると、青く晴れ渡っていた空が、見る見るうちに厚い雲に覆われました。
そして雲の向こうから雷が鳴り響くと、激しい雨が大地を強く叩(たた)き始めました。

これこそが、ナウパカとカウイの必死の願いに対する神の啓示でした。
天の神は、彼らがカプ(タブー)を破って結ばれることを、許さなかったのです。

ナウパカの花を2人で分け合う

ナウパカは髪に挿した美しい白い花を外(はず)し、真ん中から2つに引き裂きました。
そして、その花の半分を愛するカウイに渡して、こう言いました。

「あなたは海に行き、私は山に行きましょう。
 私たちは、もう2度と会うことはないでしょう。」

それ以来ずーっと、ナウパカの花は海と山に分かれて、半円形に咲き続けています。



(終わり)
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[解説] 海と山に咲くナウパカの花
海に咲くナウパカは、別名ビーチ・ナウパカとも呼ばれるナウパカ・カハカイです。
ここで、カハカイ(kahakai)は 「海辺」を意味するハワイ語です。

一方、山に咲くナウパカはマウンテン・ナウパカと呼ばれ、これには複数種があります。
その中の1種がナウパカ・クアヒヴィです。クアヒヴィ(kuahiwi)は「山」を意味するハワイ語です。

(注記)
(*1) Beamer, Winona Desha(1984): Talking Story with Nona Beamer.