079 民話 メネフネ・ラカの冒険(7.カヌーとごちそう)

(前回からの続き)

小屋とカヌーが出来上がる

ラカは、メネフネと約束したカヌーの小屋を、プヒカウの平地に作りました(*1)。

それから、彼は木が生い茂る山に行きました。
見ると、メネフネが約束したカヌーは既に完成し、いつでも引き出せそうです。

そして、メネフネはラカに、こう話しました(*2)。
「あの夜に、カヌーをあなたの小屋まで運びますよ。」 


カヌーを森から砂浜へ運ぶ

その夜の真夜中、メネフネのハミングが聞こえてきました。

いよいよ、カヌーを持ち上げる作業が始まったのです。
カヌーは引きずるのではなく、手で持ち上げて運ぶからです。

2番目のハミングでは、プエオのハロアメキエイまで、カヌーが運ばれました。

そして3番目のハミングで、カヌーは注意深く小屋の中に置かれました。

メネフネに食物を振る舞う

ラカはメネフネたちに、約束の食物と魚を振る舞いました。
食物ではタロの茎、また魚類では、オパエ(小海老)とオオプ(ハゼの仲間)が並びました。



そして夜明けになると、メネフネたちは彼らの家に戻って行きました。

遺構が失われていく

その小屋の名前はクアハラウと言い、数年前までは基礎の跡を見ることが出来ました。
しかし今では、それも掘り起こされてしまいました。

一方、ラカが掘った穴は、今でも残されています(*3)。

(終わり)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) 原文で "Menehune(メネフネ)" と言う語が現われるのは、この文が初めてです。それ以前は、直接的に"Menehune"と記す代わりに、 "someone, people, men" 等と表現しています。
(*3) 「今でも--」とは、本書の出版が1907年ですから、今から百年以上前です。