236 フクロウの戦い(2.王に背けば死刑だ)

(前回からの続き)

卵を持って行きなさい

フクロウを哀れに思ったカポイは、こう言いました。
「こっちに降りて来て、卵を持って行きなさい。」

食べられる寸前の卵を取り戻せて、フクロウは大喜びでした。


カポイよ ヘイアウを造るのです

そのフクロウが、今度はカポイに向かってこう言いました。
「ヘイアウ、すなわち神社を造るのです。

祭壇を1つ作りなさい。
そして、ヘイアウの呼び名はマヌアにしなさい(N.1)。」

カポイは言われた通りに、そのヘイアウを造りました。

それから落成を記念して、カプの日(聖なる日)を設けました。
そして祭壇上には、お決まりの 供物を奉納したのでした。

ヘイアウの噂が王の耳に入る

このことはすぐ人々の間に広まり、やがて王カクヒヘヴァの耳に入りました(N.2)。
彼はオアフ島の王で、その時はワイキキに住んでいました。

王が聞いた噂(うわさ)は、こうでした。

「ある男が自分のヘイアウ(神殿)のために、ある日を聖なるカプの日に定めた。
そして、もうその落成式も済ませてしまった。」

カポイが捕(つか)まる

この出来事よりも前に、王は次のような法律を定めていました。

「王のヘイアウが神聖な建物として落成するまで、民(たみ)がヘイアウを造ることは許さぬ。
万一、ヘイアウを造り落成した者がいれば、たとえ誰であろうとも、罰として死刑にする。」

こうして、カポイは王の命令で捕まり、ワイキキのクパラハ・ヘイアウに、連れて行かれたのでした(N.3)。


(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) マヌア(Manua) ;
マヌア・ヘイアウは、ホノルルのクイーンズ・メディカル・センター(クイーンズ・ホスピタル)の裏、パンチボール側にあったと言われています。
(N.2) カクヒヘヴァ(Kaku(h)ihewa) ;
カクヒヘヴァは、オアフ島の第15代王と伝えられますが、実際にはオアフ島全体ではなく、島を構成する複数のモクの王だったようです。
伝説によると、彼の治世下で島は大いに栄え、平和で豊かな時代が続きました。
(N.3)クパラハ(Kupalaha) ;
クパラハ・ヘイアウは、ダイヤモンド・ヘッドの西にあるカピオラニ公園内にありました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 19. Battle of the Owls, Jos. M. Poepoe, p.200-202.