237 フクロウの戦い(3.フクロウが神々の仲間入り)

(前回からの続き)

フクロウたちが大集合

カポイが連れ去られた、その同じ日のことです(*1)。
彼に神社を造らせたあのフクロウが、フクロウというフクロウを全てオアフ島に召集しました。


ラナイ島、マウイ島、モロカイ島、そしてハワイ島から来たフクロウたちは、カラプエオのある一つの場所に集めました(N.1)。


オアフ島のコオラウ地区(モク)のフクロウたちは、カノニアカプエオに集め(N.2)、
カウアイ島とニイハウ島のフクロウたちは、モアナルア近くのプエオフルヌイに集めました。

カポイはカネの日に死刑だ

一方、王がカポイに下した判決は、「カポイはカネの日に死刑にせよ」 でした(N.3)。
そして、その日がやって来ました。


フクロウと王の戦い

夜が明けると、コウモリたちは各々の集合場所から、飛び立って行きました。
そして彼らはホノルルに総結集し、その大空を覆(おお)い尽くしました。

王の召使いたちがカポイを殺そうと、彼をひっつかんだその瞬間、
大空を覆っていたフクロウたちが、一斉に王の召使いたちに襲い掛かりました。

ある時は、くちばしでつついて攻撃し、またある時は、爪で召使いたちを引っ掻(か)いたのでした。
こうしてすぐさま、カクヒヘヴァ王の家臣たちとフクロウたちの間で、激しい戦いが始まりました。

そして長い戦いの末、遂にフクロウたちが、王の家臣たちを打ち負かしたのでした。

フクロウが神々の仲間入り

このフクロウたちの勝利のお陰で、王から死刑を宣告されたカポイは、無事解放されました。
なぜって、「カポイのアクア、すなわち彼の神には、強力なパワーがある。」 と王が認めたからです。

この時以来フクロウは、数多い神々の一員として認められ、ハワイの人々に崇(あが)められています(N.4)。

(終わり)
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(ノート)
(N.1) カラプエオ(Kalapueo) ;
原文の注記では、「カラプエオは、ダイヤモンド・ヘッドの向こう側に位置する。」と記されています。
しかし実際には、ダイヤモンド・ヘッドから東北東に直線距離で約10km先の、オアフ島最東端マカプウ(Makapu'u)近くに位置します。
(N.2) カノニアカプエオ(Kanoniakapueo) ;
カノニアカプエオは、ヌウアヌ渓谷にあります。
なお、次に出てくるプエオフルヌイ(Pueohulunui)も含めて、フクロウが集まった場所の地名には、どれも「プエオ(pueo)」の語が付いています。
(N.3) カネの日(the day of Kane) ;
カネの日とは、ハワイにおける月の満ち欠けの、第27日です。ここで、第1日はヒロ(Hilo)の日、すなわち新月の翌日です。第30日が新月ですから、27日の月はかなり細い月です。
なお、カネは「生命の神」とも言われ、ハワイの4大神の中でも最高位にあります。残る3神はクー(戦いの神)、ロノ(農耕の神)、そしてカナロア(海の神)です。
(N.4) フクロウは神(deity) ;
フクロウはハワイ語でプエオ(pueo)と呼ばれ、サメやウミガメなどと並ぶ代表的なアウマクア(Aumakua)の一つです。
アウマクアは動植物などの姿でこの世に現れた先祖で、守護神として家族や個人を守ってくれます。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 19. Battle of the Owls, Jos. M. Poepoe, p.200-202.