240 プウペヘの墓(3.2人は最高に幸せだった)

(前回からの続き)

カルルの豊かな海

彼はこう言いました。
「カルルの澄みきった海へ行こう!

そこで、一緒に魚を捕(と)ろう、カラやアクを釣るんだ。
それから私は、槍でカメを突いて捕(つか)まえよう。


パラワイの大渓谷

あなたを、最愛のあなたを永遠に、マラウエアの洞穴に隠そう。

それとも一緒にパラワイの大渓谷で暮らそうか?
そこで、あのウアウ鳥の雛(ひな)を食べるんだ(N.1)!
ティー(キー)の葉に包んで、甘いパラのシダの根と一緒に、イムで蒸し焼きにしよう(N.2)。


山で採れるオヘロが、私の愛をリフレッシュしてくれるだろう。
そして2人で、マウナ・レイの冷たいミネラル・ウォーターを飲むんだ。

カオハイの隠れ家

カオハイの雑木林では、小屋に草を葺(ふ)いて2人の休憩所にしよう。
そして私たちは、夜空の星たちが消え失せるまで、ずーっと愛し続けるんだ。」

2人は最高に幸せだった

このメレはプロウ渓谷での、彼らの愛を歌ったものです。
2人はそこで、まぶしく輝くイイヴィ鳥(ベニ・ハワイミツスイ)や、深紅色のアパパネ(アカ・ハワイミツスイ)を捕まえました。

ああ、何という甘い喜びでしょう!
このワイアケアクアのバナナ林の中で、愛し合う2人はこう信じたのです。
「自分たち以上に美しいものなど、この世の中にあるはずがない。」

彼らの目は次第にかすみ閉じた

しかし間もなくすると、滲(にじ)み出る涙により、彼らの目はかすんできます。
やがてそれが、少しずつひどくなってきます。

そして最後には2人は海で溺(おぼ)れ、永遠に目を閉じることになるのです。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) ウアウ(uwau):
ウアウは、ハワイ語が ʻuaʻu または ʻuwaʻu の鳥で、和名はハワイシロハラミズナギドリ、学名はPterodroma sandwichensisです。大形で暗灰褐色の鳥類でハワイの固有種です。
かつてのハワイでは、ウアウの雛(ひな)は 大変なご馳走と言われていたそうです。
(N.2) 焼く(bake):
ここで言う「焼く」とは、イム(imu)と呼ばれる地中オーブンを使って、蒸し焼きにすることです。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16.The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.