242 プウペヘの墓(5.潮を吹く洞窟)

(前回からの続き)

マカケハウが走る

マカケハウは、泉の水を入れたヒョウタンを、荒々しく放り投げました。
そして急斜面を駆け下りると、パラワイの大渓谷を走り抜けました。



渓谷を縁取る丘を超えると、そこでは激しい暴風雨が吹き荒れていました。
彼は苦悩に満ちた心で、岸辺をめざして丘の斜面を走り下りました。

荒れ狂う海

海面はかなり上昇していました。

荒れ狂い押し寄せる大波上の泡立ちで、岸辺は真っ白です。
襲いかかる大波は、轟音(ごうおん)とともに岸辺に激突します。

そして、これと呼応するかのように、
暴風がビュービューと唸(うな)り声を上げます。

あー! この一寸先も見えない嵐の中で、「涙でかすんだ目(マカケハウ)」 は 、
一体どこで、彼の愛する人を見つければ良いのでしょう?

潮を吹く洞窟

山のように盛り上がって押し寄せる海が、マラウエアの洞窟の入口を塞(ふさ)ぎました。
すると、洞窟内に閉じ込められた空気は、押し寄せて来た激流を、豪快に押し返しました。

それと同時に、ブクブクと泡立つ轟音(ごうおん)が鳴り響きました。
押し返された激流が、巨大な水しぶきの流れとなって、洞窟から吹き出したのです。

これはまさに戦争状態とも言えるような暴風雨で、
荒くれ者の心を沸き立たせるような、スリル満点の光景でした。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16.The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.