244 プウペヘの墓(7.岩塊に道は無い)

(前回からの続き)

彼女と2人だけにして

彼らは彼女のために、埋葬の準備をしました(*1)。
そして、マネレの墓地に彼女を葬(ほうむ)ろうとした、まさにその時でした。


マカケハウがこう懇願したのです。
「もう一晩、亡き愛する彼女と、2人だけにして下さい。」

そして彼は望み通り、そこに残りました。

あの海の岩塊の上だ

ところが次の日、そこには遺体も無ければ、嘆き悲しむ男の姿も、ありませんでした。

人々があちこち探すとマカケハウはあの岩塊、海にぽつんと立つあの塔の上でした。
その天辺(てっぺん)で、彼が黙々と石を積み上げているのが、見えたのです。

ラナイ島の人々は驚いて、近くの断崖上から、その様子を見つめていました。
また、ある人たちは海にカヌーを出して、その柱状の岩塊の周囲を回りました。

岩塊に道は無い

それでもまだ、彼らにはとても不思議でした。
なぜって、彼が登ったはずの、岩塊上に通じる道が見つからないからです。

何しろ、どの岩塊面も垂直に切り立っているか、そうでなければ、前に突き出しているのですから。

神に助けられた

この地方では、古くからこう信じられて来ました。

「きっと、神のような存在、アクア、カネコア、それともケアウェマウヒリ(守護神)が、マカケハウの叫び声を聞いて現れたのだろう。
そして彼を助けて、彼女の遺体と共に、岩塊の天辺(てっぺん)へと導いたのだ。」

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16.The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.