245 プウペヘの墓(8.マカケハウの哀歌)

(前回からの続き)

プウペヘを墓に納める

マカケハウは亡き愛する人を、墓に納める作業を終えました(*1)。
そして彼女の上に、最後の石を置きました。

彼はそれから両腕を広げると、プウペヘの死をこんな風に嘆き悲しみました。

マカケハウの哀歌

「 おー、プウペヘよ、一体どこに行ったのだ? 
マラウエアの洞窟の中?

おいしい水を持って来てあげようか?
あの山の水を。

ウアウを捕まえて来ようか?
それにパラの根、そしてオヘロの実を。


あなたは今、ホヌ(ウミガメ)を焼いているの?
それから、赤くて甘いハラの実も?


私はマウイのカロを叩(たた)こうか?
ヒョウタン容器で一緒に浸そうか?

鳥や魚は苦(にが)い、
そして山の水は酸(す)っぱい。

もう、それを飲むのはやめよう。

アイプヒと一緒に飲むことにしよう(N.1)、
あのマネレ湾の巨大なサメと。」

海へ身を投げる

この悲しいうめき声がやむと、マカケハウは岩塊上から、沸き立つ大波の中に飛び込みました。
砕ける波の中で、彼の体は叩(たた)き潰(つぶ)され打ち砕かれてしまいました。

この悲しい光景を見守っていた人々は、ズタズタになった遺体を大切に保護しました。
そしてこのマカケハウの遺体は、マネレの墓地に丁寧に埋葬されたのでした。

(終わり)
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(ノート)
(N.1) アイプヒ(Aipuhi):
「アイプヒ」とは巨大なサメの名前です。アイプヒが棲んでいた場所はプウペヘ(puupehe)の西隣で、現在は「サメの湾(Shark's bay)」と呼ばれる小さな湾でした。
このアイプヒは、サメの姿でこの世に現れた守護神だ、とも言われています(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 16.The Tomb of Puupehe, A Legend of Lanai, From "The Hawaiian Gazette", p.181-185.
(*2) Kepā Maly(2014): A Field Guide to Lana'i's Storied Places, People, Resources, and Historic Events, Dec. 2014 v.2, p.108.