246 アイ カナカ(1.港を監視するヘイアウ)

(新しいお話しの始め)

イリイリオパエ・ヘイアウ

モロカイ島の風下側、カルアアハのほんの少し東に、美しいマプレフ渓谷があります(*1)(N.1)。


その渓谷の河口には、イリイリオパエというヘイアウ、すなわち神社があります(N.2)。

そのヘイアウはアイ カナカ港、今では「プコオ」の名で知られる港、を直接監視するために、
モイ(王)であるクーパの命により建立されました。


クパが地域の統治者

ヘイアウが建設されたのは、今から何世紀も前のことです。

当時、クパは2つのアフプアアのモイ(王)で、
マプレフとカルアアハという、2つの土地区画をまとめて統治していました。

彼の住居は、このヘイアウの中にありました。
そして彼が造ったこのヘイアウは、ハワイの島々全体を通しても、最も大きいことで有名でした。

いたずらっ子が王の家に

クパには、カマロという名の神官が、仕えていました。
彼はカルアアハに住んでいました。

この神官には2人の男の子がいました。
ある日、王が漁(りょう)出かけて家を留守にした、その間のことでした。

男の子たちはチャンスとばかりに、ヘイアウの中にある、王の家をのぞきに行きました。
ほんのいたずらのつもりが、現実になってしまったのです。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カルアアハ(Kaluaaha), マプレフ(Mapulehu), プコオ(Pukoo):
カルアアハ, マプレフ, プコオ(Pukoo(=Pū-koʻo))は、モロカイ島南東部に並んでいた、3つのアフプアアの名称です。
(N.2) イリイリオパエ・ヘイアウ(Iliiliopae heiau):
イリイリオパエ・ヘイアウはモロカイ島で最大、ハワイ諸島全体でも2番目に大きかったと伝えられています。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 17. Ai Kanaka, A Legend of Molokai, Rev.A.O.Forbes, p.186-192.