248 アイ カナカ(3.復讐の旅に出る)

(前回からの続き)

父は復讐の旅に出る

この話しを聞いた王は激怒して、神官の息子たちを処刑するよう、従者たちに命じました(*1)。
こうして、すぐさま息子たちは捕(とら)えられ、殺されてしまいました。

これを知った父カマロは、息子たちを殺した王にきっちり復讐しようと、直ちに準備にかかりました。

彼が頼ろうとしたのは、高名な預言者で魔術師でもある、ラニカウラでした。
お土産に一匹の黒豚を連れて彼を訪ね、その心に訴えて同情を誘い、力を貸りようとしたのです。


この預言者が住んでいたのは、ここから20kmほど離れた、モロカイ島の東のはずれでした。

サメに噛みちぎられた男

そこへ向かう途中、彼はホノウリ村である男に会いました。
男の下半身は、鮫(サメ)に噛みちぎられていました。


彼はカマロに、こう誓って言いました。
「わしが仇討ちをしてやろう。

但しその代わりに、お前は誰かを殺して、そいつの下半身を持って来い。
それを、わしの下半身と取り替えるんだ。」

預言者ラニカウラに会う

カマロはそんな話を信じようとしません。
ラニカウラの神聖な林を目指して、彼はひたすら進み続けました。

その地に着くと、カマロは怒りに身を震わせながら、ラニカウラに事の次第を話しました。
しかし、それを聞いたラニカウラは、何一つ彼にしてやれなかったのでした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907):Hawaiian Folk Tales, 17. Ai Kanaka, A Legend of Molokai, Rev.A.O.Forbes, p.186-192.