328 魚と迷信 (2. 神になった魚の迷信)

(前回からの続き)

神格化された魚

今、私達が食べている魚の何種類かは、かつてハワイの人々により神格化され、祈りの対象とされていました(*1)。
そして現在のハワイアンでさえも、サメ、ウツボ、オオプなどの魚では、何人かが迷信のようなものに悩まされています(N.1)(N.2)。


彼らは、これらの魚を食べたり、また触れたりすると、それが災いして何か辛(つら)い目に遭うのでは? と恐れているのです。
そしてこの偏見が、今日に至るまでずーっと続いており、親から子へと伝えられているのです。


筆者はこの偏見の中で育てられた1人でした。
そしてつい最近になって初めて、ご先祖たちがカプとする魚を、その天罰を恐れずに食べるようになりました。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(ノート)
(N.1)サメ(shark):
サメの神が登場するお話はハワイには数多くあり、 「スラム(1907): ハワイの民話」 の中にも、「24.サメ男」や「11.カハラオプナ」が収められています。
前者では、主人公であるサメ男の父親が、サメの神カモホアリイであり、また後者では、主人公の婚約者カウヒの家族神(アウマクア)は、ハワイ語で言うマノ(mano)、すなわちサメです。
(N.2)ウツボ(Eel):
「スラム(1907): ハワイの民話」 の中のお話 「21.クウラ」 では、かつてモロカイ島には大きなウツボ(ハワイ語名 = プヒ(puhi))が住んでおり、地元の人々から神と崇められていました。


(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 25. Fish Stories and Superstitions, Translated by M. K. Nakuina, p.269-274.