(前回からの続き)
そうです。次の伝説の中にも、旧約聖書に似た箇所があるのです(N.1)。
「 オアフ島の預言者ナ-ウラ-ア-マイヘアは、オアフ島を出発してカウアイ島に向かいました(*2)。
彼はカヌーの中で、ひどくうろたえていました。
そして、一頭のクジラに飲み込まれてしまったのです。
彼はそれから生きたまま、カウアイ島ワイルアの砂浜に、吐き出されたのでした。」
「 私はややもすれば、その信憑性(しんぴょうせい)を疑っていました。
そしてそれは聖書の記述の言い換えか、翻案物であろうと思いかけていました。
すなわち、キャプテン クックのハワイ諸島発見後に、半ば文明化または半ばクリスチャン化した、ハワイ人の手によるものだろう、と思ったのです。
各伝説の細部については、そのお話しを持って来た、クリスチャンのハワイ人から説明を受けています。
ですからその際に、 ひょっとするとある程度は、そして恐らく本人も無意識のうちに、
聖書のカラーが紛れ込んでいるかも知れません。
それでもなお、その伝説のメインの事実、そして登場人物と場所の名前は信頼出来ます。
なぜならそれらは、 紛れもなく古い他の伝説に、ほぼ明確に引用されているからです 。」
(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 旧約聖書 (Old Testament ):
ここでご紹介するハワイの伝説によく似たお話しは、「旧約聖書」の中の「十二小預言書」の 第5番目、「ヨナ書」の第1〜2章にあります。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.99-100.
鯨(くじら)に飲み込まれる
フォルナンダー判事は、もう1つの伝説でも同じだ、とほのめかしています(*1)。そうです。次の伝説の中にも、旧約聖書に似た箇所があるのです(N.1)。
「 オアフ島の預言者ナ-ウラ-ア-マイヘアは、オアフ島を出発してカウアイ島に向かいました(*2)。
彼はカヌーの中で、ひどくうろたえていました。
そして、一頭のクジラに飲み込まれてしまったのです。
彼はそれから生きたまま、カウアイ島ワイルアの砂浜に、吐き出されたのでした。」
最初は聖書の真似(まね)と思った
フォルナンダー判事は、「2人の預言者兄弟がメネフネを救出する」 という伝説を最初に聞いた時を振り返って、次のように言っています。「 私はややもすれば、その信憑性(しんぴょうせい)を疑っていました。
そしてそれは聖書の記述の言い換えか、翻案物であろうと思いかけていました。
すなわち、キャプテン クックのハワイ諸島発見後に、半ば文明化または半ばクリスチャン化した、ハワイ人の手によるものだろう、と思ったのです。
伝説の主要部分は信頼出来る
しかしハワイの民話をより数多く知り、そしてより一層理解を深めた結果、次のようなことが解りました。すなわち、各伝説の細部については、そのお話しを持って来た、クリスチャンのハワイ人から説明を受けています。
ですからその際に、 ひょっとするとある程度は、そして恐らく本人も無意識のうちに、
聖書のカラーが紛れ込んでいるかも知れません。
それでもなお、その伝説のメインの事実、そして登場人物と場所の名前は信頼出来ます。
なぜならそれらは、 紛れもなく古い他の伝説に、ほぼ明確に引用されているからです 。」
(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) 旧約聖書 (Old Testament ):
ここでご紹介するハワイの伝説によく似たお話しは、「旧約聖書」の中の「十二小預言書」の 第5番目、「ヨナ書」の第1〜2章にあります。
(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales. 1. Legends Resemblng Old Testament History. By C. M. Hyde, p.15-30.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of The Polynesian Race, its orgin and migrations and --, Vol.1. p.99-100.