364 ロノプハ(1.タヒチから人々がやって来た)

(新しいお話しの始め)

タヒチから人々がやって来た

正確な年代は知られていませんが、ミル王がハワイ島ワイピオ渓谷で、国を治めていた時のことでした(*1)。
あの何処(いずこ)とも知れぬ異国の地、タヒチから、沢山の人々が妻を連れてこの国にやって来ました。

それはそうと、彼らは皆、信仰心が厚かった(アノ アクア ナエ)と言われています。
そして、あちこち旅をして回ったので、人々の注目の的になりました。

彼らが最初に到着した島は、ニイハウ島でした。
そしてそこからハワイの全ての島々を、隈(くま)なく旅して回りました。

ハワイ島では島の南側に上陸し、そこからプナ、ヒロを回った後、ワイピオ渓谷のすぐ上にある、ハマクアのククイハエレに落ち着きました。


病(やま)いとヒーリングの始まり

彼らが訪れた島ではどこも皆、様々な病いが流行(はや)り、沢山の人々が亡くなりました。
そのため、「これは彼らの仕業(しわざ)だ。」 と王族や平民たちの間で広く言い交わされました。

彼らの跡を追うように流行る病いは、寒気、発熱、頭痛、およびパニ等でした(N.1)。

タヒチから来た人々の中の、何人かの名前を挙げると、次の通りです。
カアラエヌイアヒナ、カフイラオカラニ、カネイカウラナウラなど。

彼らは死に至る病いを、ハワイに持ち込みました。
しかしカマカヌイアハイロノという人は、ヒーリングのパワーを携えて、彼らの後からやって来ました。

恐らくこれが、ハワイにおける病い、そして薬剤を使ったヒーリング術の始まりでした。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) パニ(pani) :
この部分の原文は "chills, fevers, headache, pani" で、4つの語の中で最後の "pani" だけがハワイ語です。その意味は 「 みぞおちの部分に激痛が生じて、呼吸困難になる病気」です(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.
(*2) M. K. Pukui, S. H. Elbert(1986) : Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.