365 ロノプハ(2.赤い皮膚は病の証)

(前回からの続き)

これまで言われているように、色々な島々を襲った病いは、カマカヌイアハイロノが施した治療により、あたかも伝染病が沈静化するように、治(おさ)まったのでした(*1)。

これは、タヒチから来た旅する人々を追いかけて、彼が行った医療活動の成果であり、これにより彼の治療の有効性が確認されました。

ハワイ島の南のはずれに着く



カウに着いたカマカヌイアハイロノは、ワイオヒヌの西隣キオラカアで一休みしました。
そこには沢山の人々が住んでおり、彼らの首長はロノでした。

よそ者である彼は、ある丘の上に腰を下ろしました。
すると彼を訪ねて、沢山の人々がそこにやって来ました。

新参者に対してそうすることが、今日に至るまで続いている習慣だからです。

赤い皮膚は病の証(あかし)

彼はそこにいる間に、ある一人の皮膚が赤みを帯びているのに気付き、こう言いました。
「おー、あの男の皮膚が発赤している!」

すると人々は、これに答えて言いました。
「おー、あれはロノ、この地の首長です。彼は農民です。」

カマカヌイアハイロノは再び口を開くと、「ロノの病いは大変重い。」 と断言しました。
なぜならは、皮膚の発赤を診(み)た彼には、ロノが病人であると分かったからです。

しかし彼らは、再び答えて言いました。

「ロノは健康な人間ですよ。
『それなのに貴方は、ロノは重い病いだ、と思い込んでいる。』」

それから彼はすぐ、その住人たちを残して旅立って行きました。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.