366 ロノプハ(3.首長の傷を癒やす)

(前回からの続き)

首長ロノが倒れる

カマカヌイアハイロノの所見を聞いた何人かが首長の元へ走り、あの不思議な言葉を伝えました(*1)。
「あの首長は重病人だ。」

これを聞いて、ロノは彼のオオ(掘り棒)を振り上げて言いました。

「私はここだ、ここにいる。病気の兆候など微塵(みじん)も無い。
それでもなお、私は病気だというのか?」

そして彼がかなりの力でオオを振り下ろしたので、オオは彼の足を直撃して突き抜けました。
そのため血がどっと流れ出し、彼は倒れて気絶してしまいました。

よそ者の後を追え

これを見た家臣の1人が、すばやく1頭の豚を捕まえると、あのよそ者の後を追って走りました。

よそ者は、豚がブーブー鳴くのを聞いて振り返りました。
すると家臣が豚を抱(かか)えて、走っているのが見えました。

そして近くまでやって来ると、家臣はその豚をよそ者の前に降ろしました。

首長の傷を癒(い)やす

そういう訳でカマカヌイアハイロノは、ロノが住むキオラカアに戻りました。
その途中、彼は若いポポロの種とその柔らかい葉を採取して、キヘイ(ショール)に包みました。


そして傷ついた男が横たわる場所に着くと、彼は少々塩が欲しいと頼み、それをポポロと一緒にして粉々にすり潰しました。

そして、それをココナッツと合わせて、傷口を覆うように塗りました。
こうして夜までには出血が止まりました。

それから2、3週間が過ぎた後、彼は再び旅立って行きました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.