367 ロノプハ(4.病気や薬の知識を授ける)

(前回からの続き)

ヒーリングを学びたい

彼がのんびりと旅をしていると、苦しそうに息をしながら、誰かが後ろから近づいて来ました(*1)。
振り返って見ると、あの首長がいました。

そこで彼は、首長に尋ねました。
「どうしたのですか? ロノさん。 あなたは何処へ行くのですか?」

ロノが答えました。
「貴方は私を癒(い)やしてくれました。

だから貴方が去った直ぐ後に、私は後継者たちと話し合いました。
そして私は首長の座を辞して彼らに託し、彼らが全てを掌(つかさど)るようにしました。

一方、私のほうは、ヒーリング術を教えてもらうために、貴方の後を追いかけたのです。」

病気や薬の知識を授ける

するとカフナ・ラパアウ(医療の神官)が言いました。
「口を開けなさい。」

ロノが口を開けると、カフナはその口の中に唾(つば)を吐きました(Fn.1)。

これによって、彼は自ら選んだ天職の、達人になることでしょう。
そして彼は実際に、やがて、大変腕のいいヒーラーになったのでした。

旅をしながらカフナはロノに、さまざまな病気や、それらを上手(うま)く治すための、薬の知識を授けました。
なおロノは、足に深い傷を負ったことから、ロノプハと呼ばれていました。

こうして彼らは、カウ、プナ、そしてヒロを経てハマクアに進んで、ククイハエレまで旅して行きました(N.1)。


(原文脚注)
(Fn.1) 聖職者としての最初の儀式。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) カウ(Kau), プナ(Puna), ヒロ(Hilo), ハマクア(Hamakua), ククイハエレ(Kukuihaele) :
最初の4つ(カウ, プナ, ヒロ, ハマクア)はハワイ島のモク(moku)の名称で、島の南東岸から始まり反時計回りに北西岸に至るまで、連続的に並んでいます。
最後のククイハエレはハマクア(モク)内にある1つのアフプアア(ahupua'a)の名称で、ワイピオの東隣に位置しています。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.