369 ロノプハ(6.ミル王の侍医になる)

(前回からの続き)

ミル王の侍医になる

ある時ミルは 、腕の立つヒーラーと伝えられる、ロノプハの評判を耳にしました(*1)。
「もしも彼の治療がなかったら、あの病いに苦しむ人たちは、死んでしまったに違いない。」

そこでミルは使者を出して、ロノプハに伝言を送りました。

ミルの家に着いたロノプハは直ぐに、ミルの健康状態を診(み)たり、手で触って確かめたりしました。

それから、ミルにこう言いました。
「もしも私の言う通りにすれば、如何なる病気にもならないでしょう。」

そして彼は、ミルに施術(せじゅつ)を行い始めました。
こうして彼が施(ほどこ)した医学的処置のお陰で、ミルは健康を取り戻しました。

王の治療が終わる

そこでロノプハはミルに言いました。
「私の治療はこれで終わりです。

これまで貴方が苦しんで来た体内の病気が完治し、今の貴方は健康です。

そして唯一、体外から来る病いだけが、残っています。

今や貴方は活力を取り戻すために、木の葉で葺いた家を造り、その中で数週間、静かに過ごさなければなりません。」

このような家はピピピと呼ばれています。
そこは、予想外の何かが起きない限り、回復期の処置を施すために、患者が移される場所です。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.