371 ロノプハ(8.ミル王の肝臓)

(前回からの続き)

大きな鳥が空を舞う

それからほぼ3週間近く経った後、再びワイピオで騒がしい歓声が上がりました。
素晴らしく美しい羽根が魅力的な、1羽の大きな鳥が現れたのです。


その鳥は雲と雲の間から飛び出すと、コアエケアとカホロクアイワのパリ(断崖絶壁)上で、誇らしげに空高く舞い上がり、さらには人々の頭上を優雅に舞いました。
これを見た人々は、その鳥をあちこち追いかけ回しては、歓声を上げました。

鳥がミルを襲う

ミルはその歓声が気になってたまりませんでした。
そしてどうにも我慢が出来なくなり、もはや神官から受けた注意さえも、守れなくなったのでした。

ミルは外の鳥を見ようとして、家のティー・リーフを幾らか取り除きました。

とその瞬間、鳥は間髪入れずにミルを攻撃して、脇の下を突き刺しました。
これにより彼は息の根を止められ、死んでしまいました
(リロ・アイ・コナ・オラ・ア・マケ・イホ・ラ)。

ケアオミル(ミルの肝臓)

神官は鳥がミルの肝臓をくわえて、飛んでいるのを見ました。
そこで彼は、その鳥の後を追いました。

鳥は追われていることに気付くとすぐに、コアエケアの断崖絶壁の足元からすぐ上にある、窪んだ岩の中に入り込みました。

そして神官がそこに着いた時、鳥が入り込んだ岩の周囲には、血が飛び散っていました。
彼は一切れの布(パホオラ)を手に取ると、それを血に浸して持ち帰りました。

それから持ち帰った布を、死んだ王の体の傷口に当てました。
そして傷口にヒーリング薬をかけると、ミルは正気を取り戻したのでした。

その時以来、あの鳥がミルの肝臓をくわえて入ったその場所は、ケアケオミル(ミルの肝臓)と呼ばれています。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅵ. Lonopuha; or Origin of the art of Healing in Hawaii. Translated by Thos. G. Thrum, p.51-57.