379 聖なる地を訪ねる(7.あの世は素晴らしかった)

(前回からの続き)

あんな体には入りません

私はそれを見て、強い嫌悪感に襲われました。
あれが私の体?

私にとって今やそれは、何と恐ろしく忌(い)まわしいものだったことでしょう。
何故(なぜ)って、私はとても沢山の美しく幸せな人々を見て来たのですから。

私があそこに行って、もう一度あの中に住めと言うのですか?

嫌です、私はその中になど入りません!

私はそれに逆らい、大声を張り上げて慈悲を求めました。

私達があなたを入れましょう

「『あなたはその中へ入らねばなりません、私達があなたを入れましょう。』
と、私のいじめっ子たちが言いました。

彼らは私を掴(つか)むと、頭を先にして、足の親指の中に押し込みました。」

「私は逃れたい一心から、もがき抵抗せずには、いられませんでした。

私が最後に逃げ出そうとした時、彼らは再び、私を押したり叩(たた)いたりしました。

私が腰を通り過ぎた時、『もうこれ以上もがいても無駄だ。』と気付いたようでした。
ですから、そこから先は自分で進んで行きました。

その後、私の体は再び生命を宿し、私は両眼を開けたのでした。」


あの世は素晴らしかった

「それはそうと、あの時あの幸せな人たちと、ずーっと一緒に居られたら良かったのになあ。
私をこの世に戻らせたのは、むごいことだったわ。

あの世の私の体はとても美しく、その上、私は大変幸せ、あまりにも幸せだったわ!」

(終わり)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅶ. A Visit to the Spirit Land, or, The Strange Experience of woman in Kona, Hawaii. Mrs. E.N. Harly, p.58-62.