380 カレレアルアカ(1.死んだ子が呼んでいる)

(新しいお話の始め)

カオペレの生と死

カオペレはハワイ島のワイピオ渓谷で生まれました。

生まれ出た時、彼は息をしませんでした。
両親は悩み苦しんだ末、彼の体をきれいに洗うと、素晴らしい衣装で盛装させました。

それから数日間、彼らは心配そうに我が子を見守り続けました。
その後この子が死んでいると判断すると、断崖絶壁の表面にある小さな洞窟の中に安置しました。

その体は夏の月イキキ(7または8月)から、冬の月イクア(12または1月)までの6ヶ月間、そこに留(とど)まっていました。

嵐の中で我が子の声を聞く

彼らはこの時期になると、雷鳴と稲妻を伴う激しい嵐、そして地震の地鳴りに驚かされました。

それと同時にあの洞窟の入口を跨(また)ぐように、8つの虹がアーチ状に架かる、という不思議な現象が見られるのでした。

両親は嵐が荒れ狂う音の中に、人の声を聞きました。
それは目を覚ましたあの子が、彼らに呼びかけている声でした。

「どうか、あなた方の愛情を私に注いで下さい。
おー、私の両親よ。あなた方は私を放り出した。

あなた方は、穴だらけの断崖絶壁に私を置き去りにした。
あなた方は無常にも、熱帯鳥が飛び交う断崖絶壁の洞窟の中に私を置いた!

おー、ワイアアライア、我が母よ!
おー、ワイマヌ、我が父よ!

ここに来て私を連れて行って下さい!」


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.