381カレレアルアカ(2.カオペレと名付ける)

(前回からの続き)

母の強い愛情

子を思う母の強い愛情から、母はその子の父に、赤ん坊を探しに行くようにと、熱心に頼みました。

しかし彼は、きっぱりとこう言いました。
「探したって無駄さ、あの子はずーっと前に死んだのだから。」

とは言っても、いつの時代でも同じですが、女性がしつこくせがむことを、いつまでも断り続けることは出来ません。

彼はひどく立腹してこう言い放つと、とうとう旅に出ました。
「もしも上手くいかなかったら、戻ってからお前を懲(こ)らしめてやるぞ。」

カオペレと名付ける

だが赤ちゃんの置かれていた場所に着いてみると、その子の姿はありませんでした。

しかし目を上げてあたりを見回すと、はるか彼方の木の上に、その子が座っているのを発見しました。
彼はレフアの木に咲く深紅色の花で、花輪を編んでいました(N.1)。

父が言いました。
「お前を家に連れて帰るために、やって来たのだ。」

しかし、その赤ん坊は何も答えませんでした。

母は溢(あふ)れんばかりの愛情表現と共に、その子を両腕で抱き寄せました。

そして彼女の提案により、彼らはその男の子を、彼らの女神ペレに因(ちな)んで、カオペレと名付けました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) レフアの木 (lehua(Metrosideros polymorpha)):
原文では 、この部分は "lehua(Metrosideros polymorpha)" と表記されており、"lehua"が当該植物のハワイ語名、後続のカッコ内は学名です。なお、もともとハワイでは、レフアはこの植物の花の名前で、その花をつける木の名前がオヒアだったようです。しかし、今ではその木は、レフア、またはオヒア、さらにはオヒア・レフアとも呼ばれています(*2)


(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.
(*2) Pukui & Elbert(1986): Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.