383 カレレアルアカ(4.各地で農園を始める)

(前回からの続き)

カオペレの旅立ち

こうしてカオペレは大人になるまで、両親と一緒に暮らしました。
しかし、彼のトランスの習慣は、大人になっても変わりませんでした。

そしてある日、彼はこう言って、彼らを深く悲しませました。
「私は行きます、アロハ。」

彼らは互いの愛情を、涙とキスで確認し合いました。
それから彼は眠りに入り、そして行ってしまいました。

各地で農園を始める

彼はマウイ島のクラに舞い降り、そこで食物栽培に従事しました。

彼の農作物がほぼ成熟して、食べ頃になった時、彼は再びいつもの深い眠りに入りました。
そして彼が眠りから覚めた時、作物は丸ごと全部、その土地の人々に食べ尽くされていたのでした。


それから彼は、オアフ島モアナルアのカパパコレアと呼ばれる所に向けて飛び去り、そこで新しい農園を始めました。

しかしここでも、同じ不運が彼に降りかかりました。
作物が食べれるようになる前に、眠りの時がやって来たのです。

そして彼が目覚めた時、農園は荒れ果てていました。

再び彼は移動して、今度はオアフ島のリフエに落ち着き、そこで3度目の食物農園を始めます(N.1)。
しかし別の眠りのために、その食物を食べることは出来ません。

彼が目を覚ましてみると、作物は既に熟れ過ぎていました。
そのため放って置いたり腐ったりして、結局は無駄になってしまいました。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(ノート)
(N.1) リフエ(Lihue):
リフエは オアフ島中央部ワヒアワ(Wahiawa)にある古い地名で、近くには米陸軍基地(Schofield Barracks)やバース・ストーンで知られるクカニロコ(Kukaniloko)があります。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.