385 カレレアルアカ(6.家長に気に入られる)

(前回からの続き)


カオペレが生き返る

ちょうど6ヶ月が終わったその時、真夜中に雷鳴が轟(とどろ)き、大地が揺れました。

するとカオペレが生き返って、あの祭壇から降りて来ました。
そして、近所の家の隙間から灯(あか)りが漏れ輝くのを見ると、その灯りに向かって歩いて行きました。

彼はその家に住む人々に、すぐさま、そして心をこめて親切に受け入れられましたが、これはネイティブ・ハワイアンの特徴です。
そこで彼は、家の中に入るように誘われました(マイ、コモ マイ)(N.1)。

食物が彼の前に用意され、彼はそれを食べて疲れを癒(い)やしました。

家長が素早く動く

一家の長と思われる老人は、我々の英雄の風貌や振る舞いを見て、大変喜ぶと共に深く心を打たれました。
そこで老人はすぐさま彼を自分の孫娘、マカラニという名の美しい少女、の夫にしようとしました。

単刀直入に言えば、老人は彼を説得して、その少女に結婚を申し込ませようとしたのです。
そしてまだ夜のうちに、その少女の同意を得るため、そして彼女を彼と一緒に連れ戻すために、動き始めました。

その若い女性は、夜中に眠っていたところを起こされて、彼女のお祖父(じい)さんの提案を聞きました。
彼は顔を赤らめた彼女に、プロポーズしてくる男の魅力を、生き生きと話して聞かせました。

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) マイ、コモ マイ(mai, komo mai):
「マイ、コモ マイ」 は ハワイ語の挨拶の言葉で、原文にはハワイ語だけが記載されて英訳はありません。ハワイ語の各々の単語を英語に置き換えると、mai = this way, Come, come here, welcome 、komo = to enter 、そして Komo mai! = Come in, welcome! です。この英語を元に、"mai, komo mai" を日本語に置き換えると、 「どうぞこちらへ!」 とか 「ようこそ!」 となりそうです(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.
(*2) Pukui & Elbert(1986): Hawaiian Dictionary, Univ. of Hawaii Press.