386 カレレアルアカ(7.農業への強い情熱)

(前回からの続き)

健気(けなげ)な乙女の主張

このプロポーズは、少女の両親の目から見ると、好ましいものでした(*1)。
そして彼女自身、気が進まない点は何一つありませんでした。

しかし、けなげな乙女らしい礼儀正しさから、彼女はこう強く主張しました。
「私にプロポーズする人がここに来るべきです、そしてご挨拶をするべきです。
私がはじめに動くべきではありません。」

順調に結婚生活が始まる

それは太陽が、草の葉に降りた朝露を、未だ消し始める前の早朝のことでした。
我々の若い英雄が、2人の仲人(なこうど)に付き添われて、花嫁候補の前に姿を現わしました。

彼らは各々、自分の見方で相手を見て、お互いに気に入りました。
そしてその瞬間、2人の間に突如として、激しい愛が燃え上がったのでした。

状況は急速に進展しました。
若いカップルの住居として独自の家が与えられ、彼らの結婚生活は順調に滑り出しました。

農業への強い情熱

しかしカオペレの胸の中では、生来の農業への熱意が、結婚の絆(きずな)以上に強かったのでした。

真夜中、彼は起き上がると、花嫁の寝姿を後に残して、暗闇の中に消えて行きました。

彼はマウカ(高地)の方向にひたすら進み、やがて、広大な平原にやって来ました。
彼はそこで開墾作業に取り掛かり、さらに、種蒔(ま)きや苗の植え付けの準備をしました。

それが終わると、彼は色々な地域を歩き回って、じゃがいも、 カロ、バナナ、ワオケ、アヴァ、さらに、その他の植物の新芽や地下茎を集めました。
こうして夜明け前には、その平原は隅々まで農園に変わっていました。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.