387 カレレアルアカ(8.土を耕し植物を栽培する)

(前回からの続き)

妻が夫を諌(いさ)める

彼が出発した後に、彼の妻がハッとして目を覚まし、夫がいないことに気付きました(*1)。

彼女は両親が眠っている隣の家に行き、彼らを起こして夫がいなくなったことを伝えました。
しかし彼の行方について、彼らは何も知りませんでした。

彼らは途方に暮れながらも、彼がいなくなった原因をあれこれ考えていました。

その時、突然、彼が帰って来ました。
そして妻が問うと、「働いていたんだ。」と答えました。

彼女は穏やかに、結婚初夜が農業に邪魔された、と彼を諫(いさ)めながら、こう言いました。
「私たちが暫(しばら)く一緒に住んでハネムーンが終われば、農作業の時間を十分に取れるでしょう。」

「それに加えて、」 と彼女が言いました。
「もしもあなたが農業を手掛けたいならば、ここ、すぐ近くに小区画の土地があり、今は私の父が働いています。

ですからあなたは、イノシシたちだけが彷徨(さまよ)っている、あの平原まで上って行く必要は無いのです。」


土を耕し植物を栽培する

これに彼が答えました。
「この私の手が無理やり、植物を植えさせ、また種を蒔(ま)かせるのです。 
私は働きたくて、たまらないのです。ただブラブラしているだけで、何か儲(もう)かりますか?

儲(もう)けというものは、人が手を土に染めた時に初めて、得られるのです。
それが家族や友達に食物をもたらすのです。

もしもその人が、実際に王の息子ならば、彼は太陽が天高く昇るまで、眠っていられるでしょう。
そして起きて見ると、何種類もの食物が調理されて、目の前に並んでいるでしょう。

しかし質素な人がすべきことは唯一つ、土を耕して植物を栽培することです。

そして彼が仕事から戻ったら、オーブンに火を入れてもらいます。
それから食物の調理が出来たら、夫と妻は炉辺(ろばた)を囲んで、一緒に食事を頂くのです。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, IX. Kalelealuaka. Dr. N. B. Emerson, p.74-106.