420 この地は海に(1.クマハナガ消える)

(新しいお話しの始め)

神官カオプルプル

カオプルプルの専門的職務の遂行力と賢明さは、オアフ島のカフナたちの間で有名で、聖職者たちのリーダーとして島の隅々まで知られていました。

彼が住んでいたのは、オアフ島のコオラウロアとワイアルアの間にある、ワイメアでした。
彼はそこで結婚して、男の子が生まれるとカフルプエと名付け、その子が青年期になると、神官としてのあらゆる職務を教え込みした。

後年、マウイ島のカハハナの兄弟クマハナが、オアフ島の統治者(アリイ・ヌイ)になった時、カフルプエはクマハナの神官に選ばれました。

首長クマハナの悪事と追放

この首長は彼の民(たみ)に、諸々の悪事を重ねていました。

すなわち理由(わけ)も無く、民の財産を強奪したり打ち首にしたりし、さらには、レイオマノ(サメの歯で作った武器)やパホア(短剣)で、数多くの人々に重症を負わせました。


こうして彼は、人々から避難を浴びせられるようになりました。

カフルプエは、このような悪事をやめさせようと、必死にそして確信を持って首長を説得しました。
「そのやり方では、人々の支持や恭順は、得られないでしょう。」

ところが実際には、食料や魚、そして衣類やマロ(ふんどし)などの、王への献上物が多かったので、 人々の王に対する愛情深い敬愛の念は、確かなように見えました。

しかし、人々のその日は直ぐにやって来ました。というのは彼が敵に遭遇し、戦いが近づいたからです。
一方、カフルプエは、自分の助言が無視されたので、ワイメアの父の元に戻ってしまいました。

それから間もなくして、この首長クマハナは、下級首長や人々から拒絶・追放され、夜の暗闇の中をカヌーでモロカイ島に逃れました。

彼は自らの悪事の故に、その地で無視され、以後の歴史から姿を消したのでした。

(次回に続く)
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(次回に続く)

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 20. This Land is the Sea's. Traditional Account of an Ancient Hawaiian Prophecy. Translated from Moke Manu by Thos. G. Thrum, p.203-214.