421 この地は海に(2.新王カハハナと妻ケクアポイ)

(前回からの続き)

「オアフ島の王が密かに逃亡した。」 と言う噂を聞くと、マウイ島の王カエキリは、追放された親族クマハナの代わりに、若き里子の王子カハハナを、オアフ島の統治者に任命しました。


この出来事が起きたのは1773年頃で、カハハナはその時、親友であり仲間でもある、アラパイを連れていました。

カハハナは、ワイキキのウルコウ、コウとココナッツの木陰に居所を構えると、この島の首長たちをそに集めては、数々の国家課題を協議したり、議論したりしました。

新しい王は、風采(ふうさい)が良くて頑強そうな上に、大変ハンサムな男でした。
そこで、この島の首長や平民たちが、この王の評判を大切に守り続けていると、カウアイ島の高名な女首長であるケクアポイが、誘(いざな)われるように、カヌーに乗ってやって来ました。

人々は彼女のことを、こんな風に言っています。
「『乙女の魅力と美しさ』という面では、彼女は比類無き孤高の存在だ。」

ハワイ島からカウアイ島に至る、他のあらゆる女首長にも増して、彼女は目鼻立ちが良く凛(りん)としており、あたかも 「第3の太陽の輝き(ヘ・エコル・ウラ・オ・カラ)」 のようでした。

こうして、カハハナは彼女を妻にしたのですが、実はその彼女というのは、後でお話しするように、ケクアマノハの実の妹でした。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 20. This Land is the Sea's. Traditional Account of an Ancient Hawaiian Prophecy. Translated from Moke Manu by Thos. G. Thrum, p.203-214.