(前回からの続き)
使者が行ってしまった後、カオプルプルは息子に、使者が現れる前に話したことを思い出させた上で、こう言いました(*1)。
「おお、我が子よ。何処にいるのだ?
さあ、服を着に行きなさい。マロを締めなさい。思う存分に食べなさい。それが済んだら、我々は王の命令通りに出発しよう。
しかしこの旅の最後に、我々は生贄(いけにえ)として、祭壇に供(そな)えられる(カウ・イ・カ・レレ)だろう。
だが、死を恐れることは無い。
怠け者の名前は、たとえその男が殴り殺されたとしても、栄誉ある者の名として語り継がれることは無い。」
この父の話しが終わると、カフルプエは親族を愛する余り涙を流しましたが、父は彼を戒(いまし)めて、家族のために泣くのはよしなさい、と言いました。
何故ならカオプルプルには、王カハハナと宮廷に住む首長や家臣たちに降りかかるであろう最期が、わかっていたからです。
この時になっても尚(なお)、家族の間から悲痛な叫び声が聞こえ、その顔面には涙が溢(あふ)れていましたが、カオプルプルは、この叫び声にも心を乱されること無く、じっと目を凝(こ)らしていました。
それから彼は立ち上がって、息子と一緒に家族らに別れの挨拶をすると、旅に出て行きました。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 20. This Land is the Sea's. Traditional Account of an Ancient Hawaiian Prophecy. Translated from Moke Manu by Thos. G. Thrum, p.203-214.
使者が行ってしまった後、カオプルプルは息子に、使者が現れる前に話したことを思い出させた上で、こう言いました(*1)。
「おお、我が子よ。何処にいるのだ?
さあ、服を着に行きなさい。マロを締めなさい。思う存分に食べなさい。それが済んだら、我々は王の命令通りに出発しよう。
しかしこの旅の最後に、我々は生贄(いけにえ)として、祭壇に供(そな)えられる(カウ・イ・カ・レレ)だろう。
だが、死を恐れることは無い。
怠け者の名前は、たとえその男が殴り殺されたとしても、栄誉ある者の名として語り継がれることは無い。」
この父の話しが終わると、カフルプエは親族を愛する余り涙を流しましたが、父は彼を戒(いまし)めて、家族のために泣くのはよしなさい、と言いました。
何故ならカオプルプルには、王カハハナと宮廷に住む首長や家臣たちに降りかかるであろう最期が、わかっていたからです。
この時になっても尚(なお)、家族の間から悲痛な叫び声が聞こえ、その顔面には涙が溢(あふ)れていましたが、カオプルプルは、この叫び声にも心を乱されること無く、じっと目を凝(こ)らしていました。
それから彼は立ち上がって、息子と一緒に家族らに別れの挨拶をすると、旅に出て行きました。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 20. This Land is the Sea's. Traditional Account of an Ancient Hawaiian Prophecy. Translated from Moke Manu by Thos. G. Thrum, p.203-214.