433 この地は海に(14.王を前に神官が逝く)

(前回からの続き)


カプの日が終ると、王は首長や兵士たちを従えて、エヴァのプウロアに移動しましたが、その時、神官カオプルプルも連れて行きました(*1)(N.1)。

やがて彼は兵士たちにより、王の前に引き出されると、深手を負うもうめき声一つ上げずに、王の目の前で殺されてしまったのでした。

しかし彼は恐れることも無く、自分の死により王に降りかかる報復について話し、さらに、兵士たちの殺意溢(あふ)れる攻撃の中で、最後の力を振り絞ってこう宣言しました。

「おー王よ、ここプウロアの地で私を殺す、貴方よ!
そのために、貴方が死の報復を受ける、その時は近い。

この土地のここより高いある場所に、私の遺体が運ばれて祭壇の高所に安置されるので、私の肉は腐敗して地面にずり落ちて行くであろう。
そしてそこは、以後、首長や人々の埋葬地となり、『過ちの王の砂』と呼ばれるであろう。

そして貴方は、そこの神社に安置されるでしょう。」

(次回に続く)
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(ノート)
(N.1) プウロア(Puuloa):
プウロア(Pu'uloa)はハワイ語で、今で言う真珠湾(Pearl harbor)の古称です。"pu'u" は「丘」、"loa"は「長い」 なので、"pu'uloa"は「長い丘」 を意味します(*2)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 20. This Land is the Sea's. Traditional Account of an Ancient Hawaiian Prophecy. Translated from Moke Manu by Thos. G. Thrum, p.203-214.