437 アイアイ クウラの子(1.最初の石を建てる)

(新しいお話しの始め)


ハナの王が死んだ後、アイアイはヒナレアを捕りながらハネオオの人々と別れて、クマカへ行きました(*1)。
そこはハモアのプヘレの波打ち際に近い所で、砂や岩の間から淡水が湧き出ており、海の中には、大きく細長い石が横たわっていました。

アイアイはその石を持ち上げると真っ直ぐに建て、さらに他の石もその湧き水の周囲に置くと、友達にこう言いました。

「 今日、私はこの石を クウーアーラナキラ と名付る。何故なら、私は敵を打ち負かしたのだから。
そして私はここに、こう宣言する。

『全ての魚、蟹やヤドカリ、そしてシーモス(紅藻類)を、ちょうど私の両親たち本人がレホウラに住んでいた時のように、再びハナの海の至る所に大量に戻らせよう。』」

アイアイがこの石を立てた時から今の世代に至るまで、クウラとアイアイのお話しは上手(うま)く伝承されています。
そして人々は、その石を自分の目で見てこの伝承を確かめようと、その石が建つ場所に押し寄せているのです。

あるカフナたちは病いに苦む患者たちに、苦しみを和らげるため、その石クウーラナキラを訪ねて奉納するように勧め、そしてまた、クマカの泉で患部を洗い、プヘレの波しぶきを浴びるように勧めます。

ここは、かつての王や首長たちが水浴びやサーフィンをする際の、お気に入りだった場所であり、愛しのハワイの物語や伝説の中には、しばしばその地名が登場しています。

これがアイアイにより建てられた最初の石であり、「ハモアのクウラ」として設置されました。そしてハナの年長者たちは、魚たちが彼らの水域に戻って来たのは、この石のお陰だと考えました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 22. Aiai, Son of Ku-ula. Part II of the Legend of Ku-ula, the Fish God of Hawaii. Translated from Moke Manu by M. K. Nakuina, p.230-249.