441 アイアイ クウラの子(5.ワイオフエとカラ)

(前回からの続き)


次に彼はコオラウのワイオフエに行き、1つの石の神を安置しました。そこは、パカと呼ばれる鋭い岩の小島で、プハラの木が数本伸びていました(*1)。

カラの季節になると、 魚たちはこの石のパワーに魅せられて、外洋からこの地にやって来る、と言われています。


彼らは、ケアナエとワイルアヌイの間にある、モクマナ岬に向けて進み続けます。
2日間に渡って少しずつ近づいて来て、第3日目には岸、すなわちオヘアの断崖に到着しますが、正にその時そしてその場所で、漁師たちが彼らを漁網で取り囲むのです。

かつて漁師たちはカラが満ち溢(あふ)れる漁網を、カヌーの中に力強く手繰(たぐ)り込んでいましたが、同時にアクレやオイオも沢山入って来たので、全部を一日で取り出すのはとても無理でした。

そして、漁網の中には獲物が溢れていたので、その処理を終えて祝い酒を飲めるまでに、丸一日と一晩かかりました。
結局の所、漁獲量が余りにも多かったので、上手く活用出来る範囲を超えてしまい、残った魚は豚や犬の餌になりました。 

オヘアのカラは、脂が乗っていて、上質で独特の味わいがあることで有名です。

現在そこには、ほとんど誰も住んでいませんし、これについて詳しかった人たちは、既に亡くなっています。
しかし、ワイオフエのあの小島に安置した石は、今なおそこにあります。

アイアイはそこに数日間滞在した後、ハナに戻るとかなり長い間、いい大人になるまで、故郷で暮らしました。

その間、彼はあらゆる方式の魚獲術を教え、彼が満足した時には、人々は腕の立つ漁師になっていました。
そこで彼は、他の場所でも同じように教えようと、各地を訪ねて回る準備をしました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 22. Aiai, Son of Ku-ula. Part II of the Legend of Ku-ula, the Fish God of Hawaii. Translated from Moke Manu by M. K. Nakuina, p.230-249.