443 アイアイ クウラの子(7.大ダコが石に変わる)

(前回からの続き)

それが終わると彼は釣具入れの蓋を開けて、虹のように鮮やかで美しいレホを取り出しました(*1)。
そして彼がそれを、釣り糸に取り付けて海の中に下ろすと、レホは燃え立つ炎のような赤い光線を放ちました。

そのタコは、この輝きに大変魅せられたので、自分が棲む穴から外に出て来ました。
そして、ココヤシの成木と同じ位(くらい)に長くて大きい、巨大な腕を伸ばして海面まで上って来ると、あたかもココヤシの木立のようにそこに立ちました。

そして驚いたことに、タコはカヌーに近づくとそのまま中に入り、人々を皆殺しにしてあのレホを捕獲しよう、と企(くわだ)てたのでした。
しかしそれは上手く行きませんでした。なぜならアイアイの友達が、自らの技量とパワーで、予め1つの石を準備しておいたからです。

タイミングを見計らって、彼はその石をタコの頭の中に、力を込めてぐいと押し込みました。
するとその石の重みで、タコは海底まで引きずり降ろされて、動けなくなりました。そして最早(もはや)タコには、その石を取り除く力が無かったので、そのまま死んでしまいました。

人々はその腕の中の1本を、ぎゅっと掴んで切り落としましたが、それがあまりにも大きかったので、カヌーは身動きが取れなくなって、ハナに戻りました。

そして、そのタコが死んだ時、その体は石に変わったのでした。

現在、ワイルアヌイのすぐ外れには、石の形状が、腕が1本足りないタコの胴体と腕に似ている、と言われる場所があります。

アイアイは断崖上から、友達が上手くヘエを退治するのを確かめると、誰にも見られずにハナに戻りました。
暫(しばら)くすると、あの腕を積んだカヌーが浜に着き、アイアイの指示に従って、人々に分けられました。


(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 22. Aiai, Son of Ku-ula. Part II of the Legend of Ku-ula, the Fish God of Hawaii. Translated from Moke Manu by M. K. Nakuina, p.230-249.