445アイアイ クウラの子(9.漁場コアヌイの設定)


(前回からの続き)

彼は遥か彼方のキパフルまでの色々な地点に、3つの魚の石を置くことで、クウラとコア アイナを設置して行きました(*1)。

現在、キコオとマウリリの流れには一つの石が立っていますが、これはかつてアイアイが放り投げて流れの曲線部に落ちたもので、それ以後、幾度となく洪水が谷を洗い流しましたが、この石はびくともしませんでした。

さて、マウリリ海には有名な漁場があり、コアヌイの名で知られています。

この漁場は岸から約1.6km先まで広がり、そこがマウリリ海の境界です。こう定められて以来、定期的に現れて境界内で捕獲された魚は、漁師と首長の間で分け合うべし、と決められています。

この漁場では釣り針が無くなったり、釣り糸が切れたりしない限り、一匹も釣れないまま釣り人を返すことはありません。

アイアイがこの漁場を初めて試して、彼の有名な釣り針で一匹の魚を釣った時、カヌーに乗ったある漁師が、全く釣れずにむなしく漂っているのが見えました。

その漁師カネマクアは、アイアイを見るとパドルを漕(こ)いで近くまで来ましたが、アイアイのカヌーが急ごしらえのウィリウィリ丸太製で、アウトリガーが無かったのでびっくり仰天しました。


漁師が彼の所に着く前に、アイアイは釣り糸が引いているのに気付き、魚を捕えたと確信して引き上げ始めました。

カネマクアが話の出来る距離まで近づくと、アイアイは彼に挨拶して、いま釣ったばかりの魚を、彼のカヌーに入れてあげました。

カネマクアは喜んで、彼の気前良さに感謝しました。

アイアイはその魚をあげながら、こう言いました。

「 この漁場を設定する(もしくは見つけ出す)ために、私がこの海域で魚を捕(と)ったのは、これが初めてです。そして私が最初に会った人が貴方(あなた)なので、最初に捕ったこの魚を貴方にあげます。

貴方にはこのコアの管理もお願いします。但し、私のアドバイスに従って下さい。

貴方がここに釣りに来た時に、カヌーに乗った男が貴方を見ているのが目に入り、その男が近くまで来てカヌーを並べたら、そしてその時もしも、貴方が既に魚を捕(と)っていたら、貴方は私がしたように、捕った魚をその男に惜しげ無くあげなさい。

このようにして貴方は良い評判を築き、寛大な人として世に知られるようになりなさい。
もしも、貴方がこれを遵守(じゅんしゅ)するならば、貴方や親族は大きな恩恵を受けるでしょう。」

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 22. Aiai, Son of Ku-ula. Part II of the Legend of Ku-ula, the Fish God of Hawaii. Translated from Moke Manu by M. K. Nakuina, p.230-249.