446アイアイ クウラの子(10.マウイ島全体に拡大)

(前回からの続き)

話を終えたアイアイが突然姿を消してしまったので、もしも、カヌーの中に巨大な魚が横たわっていなかったら、カネマカウは 「自分は夢を見ていたのだ。」 としか思えなかったでしょう(*1)。

彼は獲物を積んで岸に戻りましたが、それが余りにも大きくて重かったので、家まで運ぶのに助っ人を2人も頼み、家に着くと魚は細かく切られて、それを焼くためにオーブンが加熱されました。

魚が焼き上がると彼は両眼を取り出して、感謝祭のお供え物として神に捧げました。

それから、家族、友達たち、そして近所の人々などが、大ご馳走にあずかろうとやって来て、思う存分食べていきました。

カネマクアはその間ずーっと、あの若者が言ったことを考え続け、以後、その言葉をしっかりと守りました。

マウイ島のマウリリに設置された初のクウラは、彼に因(ちな)んで名付けられ、その時以来、その漁場で捕れた魚は何の制約条件や分配義務も無く、無償で漁師に与えられています。

ハナからキパフルの海岸沿いに様々(さまざま)なクウラや漁場を設置した後、アイアイはカウポなど、他の幾つかの場所へ行きました。

その中でも有名な漁場とクウラは、カヒキヌイにあります。

この地域の漁場はどれも深海にあり、漁師たちは3種類の漁網を使います。
さらにまた、この地方は島の風上側にあるので、竿を使った釣りやウルアを狙った釣りも出来ます。

しかしクウラは、ホヌアウラの場合と同じように、溶岩流に覆われた海岸にあります。

このようにアイアイは、クウラ、漁場、そして魚石をマウイ島全体に設置するに際して、素晴らしい仕事をしました。

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, 22. Aiai, Son of Ku-ula. Part II of the Legend of Ku-ula, the Fish God of Hawaii. Translated from Moke Manu by M. K. Nakuina, p.230-249.