014 民話 オヒア・レフア(4.女神ペレの嫉妬)

(前回からの続き)

キラウエアの火口に住む女神

オヒアとレフアは、ハワイ島の南東にある、キラウエア火山の麓(ふもと)に住んでいました。

しかしこの山は、これまで幾度となく噴火を繰り返し、その度に真っ赤な溶岩を噴き出してきました。
そしてその大きな火口には、「火山の女神ペレ(Pele)が住む。」 と言い伝えられています。



女神ペレはハワイで一番有名な神様で、その名を知らない人は誰1人いません。
彼女は大変美しく情熱的ですが、その反面、気が短くて気性の激しい女神でもあります。

女神ペレがオヒアを誘惑する

ある日、ペレが森の中を歩いていると、まだ新しいオヒアとレフアの家がありました(*1)。
彼女は、近くで働いているオヒアの姿を見ると、彼に熱い眼差しを注ぎはじめました。

オヒアに強く惹(ひ)かれた女神ペレは、長い黒髪の艶麗(えんれい)な女性に姿を変えました。
そしてオヒアのもとに歩み寄ると、彼を誘惑しはじめたのです。

しかしオヒアは、「私には最愛の妻がいます。」 と丁寧に答えるだけで、ペレの愛を受け入れません。

気が短いペレの心の中は、怒りに満ち溢(あふ)れましたが、それでもオヒアを諦(あきら)めきれません。



愛し合う2人にペレが嫉妬(しっと)する

ちょうどそこに、オヒアの美しい妻レフアがやって来ました。
彼女は森で働く愛する夫のもとに、お弁当を届けに来たのです。

妻の姿を見たオヒアの顔は、彼女への深い愛で光り輝きました。
そして、目の前に女神がいたことも忘れ、彼は妻のもとに走り去ってしまいました。

1人とり残された女神ペレは、愛し合う2人を前にして、こみ上げる嫉妬と怒りに身を震わせました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) S.E. Schlosser: Pele's Revenge, A Hawaii Legend, Myths & Legends, American Folklore.