015 民話 オヒア・レフア(5.オヒアの木に咲くレフア)

(前回からの続き)

女神ペレの怒り

激怒したペレは黒髪の艶麗(えんれい)な女の姿を捨て、激しく燃え上がる女神に変わりました(*1)。
そして、彼女の愛を拒(こば)むオヒアに怒りの炎を浴びせ、ねじ曲がった醜(みにく)い木に変えてしまったのです。

この恐ろしい光景を目の当たりにしたレフアは、変わり果てた夫オヒアの下に倒れ込みました。
醜い木となった愛する夫を前に、彼女の顔には涙が溢(あふ)れていました。


叶(かな)わぬレフアの願い

レフアは泣き崩れながらも、女神ペレに切願しました。

「どうか夫を人の姿に戻して下さい。さもなくば、私も夫と同じ木に変えて下さい!」
彼女には愛する夫と別れて生きることなど、とても出来なかったのです。

しかしレフアへの嫉妬心から、女神ペレの怒りは強まるばかりです。
ペレはレフアに見向きもせず、そのまま山の奥に姿を消してしまいました。

ペレの怒りがおさまったのは、はるか遠方の涼しい山頂に着いた時でした。


オヒアの木に咲くレフアの花

天の神々は、この地上の出来事をずーっと見ていました。
そして、ペレの嫉妬心の犠牲になった、善良な恋人たちを救うことにしました。

神々は地上に降り立つと、絶望の涙を流し続けるレフアと、醜い木になったオヒアがいる所に向かいました。
そして、レフアの姿を見ると彼女を美しい赤い花に変え、ねじ曲がったオヒアの木に固く結び付けたのです。

それ以来、愛し合うオヒアとレフアは、オヒア・レフアと言う1つの名で呼ばれ、その木と花として生き続けています。
今でもオヒアの木には、毎年、美しいレフアの花が真っ赤に咲き誇ります。



(次回に続く)
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(注記)
(*1) S.E. Schlosser: Pele's Revenge, A Hawaii Legend, Myths & Legends, American Folklore.