半円形に咲くナウパカの花
ナウパカの花は、普通の花のような円形ではなく、半円形に咲きます。そしてこの花を2つ合わせると、あたかも1つの花のように見えます。
なお、この伝説にも数多くのバージョンがあります。
あるバージョンでは火山の女神ペレが登場し、またあるものでは、主人公がフラの学生だったりします。
ここでは、ハワイの伝統的文化に貢献した、アンティ・ノナ(Auntie Nona) さんのお話しをベースにしましょう(*1)。
ナウパカの伝説
昔々ハワイのある国に、ナウパカ(Naupaka)という名の、美しい王女が住んでいました。王女は、いつも愛らしい微笑(ほほえ)みを浮かべている、国一番の人気者でした。
この国の人々の心は、その微笑みを見るだけで、喜びに満ち溢れるのでした。
ところが、ある日のことです。
あの素晴らしい微笑みが、王女の顔から消えてしまったのです。
王さまは大変心配し、王女にその訳(わけ)を尋ねました。
すると王女は、うつむいたまま小さな声で答えました。
「私はカウイ(Kaui)という名の平民の若者を、愛してしまったのです。
彼はとても逞(たくま)しくハンサムな上に、大変親切な人なのです。」
これを聞いた王さまとお妃さまは、声も出せぬほど驚きました。
王族の娘が平民と結ばれることは、「カプ」と呼ばれる掟(おきて)により、決して許されないからです。
(次回に続く)
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[解説] 厳格な カプ(タブー) の社会
この頃のハワイ社会には、「カプ(kapu)」と呼ばれる、厳しい掟がありました。
カプはポリネシア語tabuに由来するハワイ語で、「タブー(taboo)」に近い意味があります。
人々の日常生活の行動は、このカプによりこと細かく制限されていました(*2) 。
例えば平民は、王族に触れることは勿論(もちろん)、その影を踏むことさえも許されません。
万一、誤ってでもこのカプを破ると、死罪という厳罰が下されたのです。
(注記)
(*1) Beamer, Winona Desha(1984): Talking Story with Nona Beamer. Honolulu,Hawaii,The Bess Press.
(*2) Shawn Ford: Ancient Hawaii, Hawaiian Rights Unit, Kapi'olani Community College, University of Hawaiʻi.