034 神話 マウイが太陽を捕まえる(12.命だけは助けてくれ!)

(前回からの続き)

太陽を叩(たた)きのめす

足を全部縛られてしまった太陽は、今度は、山の斜面を下りて海の向こうに戻ろうとしました。

しかし、マウイはそれさえも許しません。

マウイは太陽を捕まえたロープの端々を、大きなウィリウィリの木に固く縛り付けました。
そして、そのロープを力の限り引っ張り、太陽の胴体を引きずり寄せたのです。

それだけではありません。

勇敢なマウイは、太陽の前で仁王立ちになりました。
そして、お婆さんにもらった魔法の石斧を手に、太陽に殴りかかったのです。


太陽の命乞い(いのちごい)
すると太陽は悲痛な声で、「命だけは助けてくれ!」 と命乞いしました。

しかしマウイは、きっぱりと言い放ちました。

「もしもお前がこのまま生き続けるなら、一生、裏切者の烙印を背負い続けねばならない。
それよりもむしろ、殺されてしまった方がましだ。」

一方、太陽はマウイの言葉を聞こうともせず、ひたすら哀願し続けるのでした。
「お願いだから、命だけは助けてくれ!」

(次回に続く)
[目次へ戻る]

(注記)
(*1) W.D.Westervelt(1910): Legends of Ma-ui, A Demi God of Polynesia, and of His Mother Hina; IV. Maui Snaring the Sun.