066 民話 メネフネ(4.ハワイは妖精の郷(3))

(前回からの続き

メネフネとクムホヌアの神話

フォルナンダーさんは、ハワイに伝わるクムホヌアの神話を引き合いに出して、次のように言います【解説1】(*1)。


『ポリネシア人はメネフネの子孫であり、メネフネはルア・ヌウの息子である、とされている【解説2】。 --

ところが 「メネフネ」という語は、国の名前としては、はるか昔に消えてしまった。
そして後に残されたあの神話が、「メネフネ」という語 を悲しげに咎(とが)めるような言葉にしている。

すなわち神話では、ポリネシアの祖先であるメネフネを、時には一つの独立した種族として描いている。
そしてまた時には、ドワーフのように腕の立つ職人だが、その反面、悪賢く抜け目ない種族として描いている。』

(次回に続く)
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【解説1】 フォルナンダーさんとクムホヌアの神話
・フォルナンダーさん:
フォルナンダーさん(Abraham Fornander:1812-87)は、スウェーデンに生まれてハワイに移住し、民俗学者・ジャーナリスト・裁判官として活躍した、ハワイの著名人です。
・クムホヌアの神話:
クムホヌア(Kumuhonua)の、kumuは最初、honuaは地上の意味なので、2つ合わせたクムホヌアとは、地上に最初、すなわち「最初の人間」のことです。
クムホヌアの神話は、フォルナンダーさんの下で、熱心なクリスチャンのハワイ人学者たちにより創作された、と言われています。
なお、上に引用され文は、フォルナンダーさんの著書(*2)の、p.55第2段からの抜粋です。

【解説2】 ルア・ヌウ
クムホヌアの系図によると、神が作った最初の人間が クムホヌアです。
その後に、-- ヌウ(Nu'u), ルア・ヌウ(Lua Nu'u), そして メネフネ(Menehune)の祖先、と続きます(*3)。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) Abraham Fornander(1878): An Account of Polynesan Race, Its Origin and Migrations, Vol.Ⅰ.
(*3) Martha Beckwith(1940): Hawaiian Mythology.