はじめに
スラムさんの民話 「ピーの水路」には、耳慣れぬ人名、地名などが幾つも出てきます(*1)。そこで、本文に入る前に、主な人名や地名について簡単に解説しましょう。
(1) ピー(Pi) :主人公
ピーは、カウアイ島のワイメアに住む、普通の人(ordinary man)です。
但し、首長(chief)、土地のオーナー、カフナ(Kahuna)などとする、バージョンの民話もあります(*2)。
(2) ワイメア(Waimea) :お話しの舞台
ワイメアは、カウアイ島南西部にある町(村)の名前です。そして、湾、川、さらに渓谷の名前でもあります。
ワイメア渓谷は、太平洋のグランド・キャニオンとも呼ばれる、カウアイ島きっての景勝地です。
またワイメアは、キャプテン・クックがハワイに初上陸した地としても有名です。
(3) プウカペレ(Puukapele) :メネフネが住む山
プウカペレは、ワイメアの北に広がる山々で、メネフネが住んでいた場所です。
ハワイ州はワイメア渓谷とその西側を、プウカ・ペレ森林保護区域と呼んでいます。
また、ワイメア渓谷にある5つの展望台の1つが、プウカ・ペレ展望台と呼ばれています。
(4) キキアオラ(Kikiaola) :ダム・水路の建設地
キキアオラは、ワメイアの町(村)の北にあり、主人公のピーが水を引きたかった場所です。
(5) カワイヌイ(Kawainui) :オアフ島の湿地
民話の最後に出て来るカワイヌイは、お隣のオアフ島の地名です。
オアフ島東部には、ハワイ州で人口第3位の都市、カイルアがあります。
そのカイルアにあるハワイ州最大の湿地が、カワイヌイです (ラムサール条約に登録)。
かつてカワイヌイ湿地には、メネフネがいたと言い伝えられています。
(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) P.K.Joerger and C.F.Streck, Jr.(1979): A Cultural Resource Reconnaissance of the Waimea River Flood Control Study Area, Kauai, Hawaii. Corps of Engineers, Pacific Ocean Division, Dept.of the Army.