071 民話 メネフネ・ピーの水路(3.メネフネは夜働く)

(前回からの続き)

メネフネは夜働く

さあ、いよいよ準備した石材を使って、ダムと水路を造る工事が始まります。

メネフネが働くのは昼ではありません、彼らはいつも夜に仕事をするのです。
そこでピーはこの工事を、どの日の夜にするか、を決めました(*1)(*2)。

ダムも水路も夜明けまでに

その時が来ると、ピーはダムが出来る場所に行って、じーっと待ち続けました。

すると真夜中になって、メネフネたちの話し声やハミングが聞こえてきました。
彼らは皆(みんな)で1人1つずつの石を、ダムや水路を造る場所、キキアオラに運んでいるところでした。


そして、その石の1つ1つがうまく合うように、注意深く積まれていきました。
やがて、ピーが計画した通リの大きなダムが、ワイメア川の中に姿を現わしました。

さらに、石積みの水路も、キキアオラのあたりに見えてきました。

こうして、メネフネたちの仕事は、夜明け前までに全て完成したのです。


豊かなワメイアの誕生

それ以後、ワイメア川の水は、ダムにより流れの方向が変わりました。
そして、ダムから水路が引かれた川の西側の平地に、水が流れ込んだのです。


メネフネたちのお陰で、ワイメアは農作物に恵まれた豊かな地域になりました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) P.K.Joerger and C.F.Streck, Jr.(1979): A Cultural Resource Reconnaissance of the Waimea River Flood Control Study Area, Kauai, Hawaii. Corps of Engineers, Pacific Ocean Division, Dept.of the Army.