074 民話 メネフネ・ラカの冒険(2.マウイ島で育つ)

(前回からの続き)

首長ワヒエロアとその息子ラカ


昔々、ハワイのマウイ島に、キパフルと呼ばれるモク(地区)がありました(*1)(*2)。
その首長は名をワヒエロア(Wahieloa)と言い、カライコイという所に住んでいました。

彼はヒナハウェアを妻としてめとり、やがて彼らの間に男の子が生まれました。
男の子は、母方のおばあさんである、ヒナホワナに育てられました。

そのおばあさんは、キパフル内のアラエヌイという共同生活区域に住んでいました。
彼女はその男の子を、「ラカ・ア・ワヒエロア]と呼んでいました(*3) 。

ラカの父が殺される

ラカは、両親にとても可愛がられていました。

父のワヒエロアは、ラカにおもちゃをあげようと思いました。
そのおもちゃとは、アラ・コイウラ・ア・カネ、すなわち「生命の神カネの虹の小道」です(*4)。


ある日、ワヒエロアはおもちゃを探そうと、ハワイ島に向かいました。
そして、カウ地区のプナルウに上陸しました(*5)。
しかし、彼はそのまま、ケアナ・ア・カウアレフという洞窟の中で、殺されてしまったのです。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) 本ブログの前回、「073 民話 メネフネ(T. ラカの冒険(1))」を参照下さい。
(*3) 「ラカ(Laka)」が男の子の名、「ワヒエロア(Wahieloa)」は父の名ですから、この呼び方は、「ワヒエロアの子であるラカ」と言った感じです。
(*4) 原文には「アラ・コイウラ・ア・カネ」についての説明がありません。
しかし、「アラ(ala)」は小道、「コイウラ(ko'i'ula)」は虹の小道、そして「カネ(Kane)」がカネ(生命の神)ですから、ここでは仮に、「生命の神カネの虹の小道」と訳してみました。
(*5) カウ(Kau)は、かつてのモク(Moku)の一つでした。そしてその名は、現在の地区(District)名として受け継がれています((*2)参照)。