077 民話 メネフネ・ラカの冒険(5.穴に潜んで奴らを待つ)

(前回からの続き)

木の横に穴を掘る

おばあさんを訪ねた後、ラカは再び山に行きました(*1)。
そして、望み通リの素晴らしい木を見つけました。


しかしこれまでとは違い、ラカはそれを直ぐに切り倒そうとはしません。

その代わりに、木が倒れる方向に、溝状の長い穴を掘りました。
『Kalala-Kamahele (斜めに倒れていく木)』を落とし込もう、と考えたからです【解説1】。

そして実際に切り倒すと、その木はちょうど計画通りに、ラカの穴に倒れ込みました。

これを見たラカは、今度は自分が穴に飛び込み、そこに横たわりました。

穴に潜んで奴らを待つ

穴に身を隠したラカは、奴らが現れるのをじっと待ち続けました。
奴ら? -- ラカが木を切り倒すたびに、その木を立て起こして元に戻した奴らです。

やがて、ラカの耳に誰かの話し声が聞こえてきます。
どうやら、「木を立て起こして元に戻そう。」 と話しているようです。

と、今度は誰かが歌い始めました。

-- 歌 (ハワイ語) は省略。 --

(次回に続く)
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【解説1】 Kalala-Kamahele
原文では、この部分はハワイ語で "Kalala-Kamahele"と記載され、その解説がありません。

そこで、この句を構成する単語の意味を調べました。
ka:突進する, lala:斜めの, kama here:旅人, (kama:人, hele:行く)

どうやらこの句は、(根元を切られた)木が斜めに倒れて行く様子を、擬人化して表現したもののようです。

そこで、ここでは仮に次のように和訳してみました。
  Kalala-Kamahele = 斜めに倒れていく木


なお、ハワイには、カマ・ヘレ(Kama-Hele)と言う名の船があります。
この船は、古代ポリネシア人のカヌーを複製した、ホクレアと言う船の専用伴走船です。

2007年にホクレアが日本を訪れた時、このカマ・ヘレも伴走して日本に来ました。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.