083 民話 メネフネ・ケクプアのカヌー(4.カネの夜のハミングを待て!)

(前回からの続き)

タヒチへの大航海にふさわしいカヌーを作るには、優れたコア(Acacia Koa)の木が必要です。
ケクプアと従者たちは、その木を探して森を歩き回る旅を続けて来ました。



旅を終えて首長に報告する

ケクプアと従者たちは長い旅を終えて、首長(カカエ)の下に戻って来ました(*1)。

そして、これぞと言うコアの木が見つからなかった、と報告しました。
さらに、あのワオラニの不思議な出来事についても、詳しく説明しました。

カネの夜のハミングを待て!

これを聞いたカカエは、直ぐにその張本人がメネフネだとわかりました。
カカエ自身がメネフネの子孫だったからです。

そこで彼は、ケクプアに次のように指示しました。

「まずはマカホとカマケラまで進み、そこにカネ(Kane)の夜まで留まりなさい【解説】。

そして、その夜が来たらプウヌイ(Puunui)まで上り、メネフネのハミングと話し声が聞こえるまで待つのだ。
--- きっとそのハミングが、カヌーが完成した合図なのだから。」



(次回に続く)
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【解説】カネの夜とは?
カネ(または「カーネ」)は、新月(朔の瞬間)を月齢0と数えた場合の、月齢27の月です(*2)。
夜明け(有明)の空にのぼります。


カネは生命の神で、ハワイの4大神(カネ、クー、ロノ、カナロア)の中でも、一番上位の神とされています。
かつてこの日は、社会的な式典や宗教的儀式の日とされ、農作業や魚釣りは行われませんでした。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) 'IMILOA: (Home Page)/Hawaiian Moon Names, Interactive Hawaiian Moon Calendar, Kane. Univ. of Hawaii, Hilo.