085 民話 メネフネ・ケクプアのカヌー(6.メネフネがカヌーを引く)

(前回からの続き)

ケクプアは、出発前の首長カカエの指示を、きちんと覚えていました。
そして、その細部に至るまで忠実に従ったのです。

メネフネに出会う

ケクプアたちはプウヌイまで来ると、そこで日が暮れるのを待ちました。

そして、大勢の人がハミングするような音が聞こえ始めると、
彼らは、アレワの斜面近くをさらに上って行きました【解説1】。

そして、ちょうどその時です。
ケクプアたちが、あの素晴らしい人たち、メネフネに出会ったのです。

メネフネは一見、普通の人のように見えますが、小柄な体格の人たちです。

カヌーを引き出す

ケクプアはメネフネたちに、プウヌイを流れる川を使ってカヌーを引き出すよう指示しました。

「東側にある流れに沿ってカヌーを引くんだ!
そうだ、ここから遠い方の流れだ!【解説2】」



(次回に続く)
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【解説1】アレワの斜面
アレワ(Alewa)の斜面とは、プウヌイ(Puunui)地域の西側境界をなす尾根、と思われます。
現在、この尾根の西側の谷筋(すじ)に、アレワ・ドライブ(Alewa Dr.)と言う名の道路が伸びているからです。

【解説2】プウヌイを流れる川
「東側にある--」の部分は、原文の"--along the nae--"の訳です。
これは、Scott A.B.他(2015)が、「nae=na'e=東側の,風上の」、と解説していることに従ったものです(*2)。

また、「遠い方の流れ」と言っているのは、彼らが複数ある流れの西側、すなわちアレワにいるからでしょう。
そして、この 「東側にある--遠い方の流れ」こそが、現在のヌウアヌ(Nuuanu)川だろうと思われます。

(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) Scott A.B. et al.(2015): Final, Archaeological Literature Review and Field Inspection for the Dowsett Highlands Relief Sewer Project Nu‘uanu Ahupua‘a, Honolulu District, O‘ahu.