092 神話 ペレと大洪水(2.はじめに(2))

(前回からの続き)

大洪水神話の元祖はシュメ-ル

・メソポタミアでシュメールが栄える
現在のイラクを流れるチグリス川とユーフラテス川は、広大な沖積平野メソポタミアを形成しています。
そのメソポタミアの最南部、河口に近い地域がシュメールです。

シュメールはメソポタミア文明の発祥地で、かつて世界最古の都市国家が栄えていました。
そのうちの一つであるシュルッパク国に、ジウスドラという王がいました。


・シュメール神話
ジウスドラは大洪水が起こった時の王で、その様子がシュメール神話に残されています(*1)(*2)。
それは旧約聖書の大洪水に酷似しており、そこでノアの役割をするのがジウスドラです。

このシュメール神話は、旧約聖書よりもはるかに古いものです。

どうやら、旧約聖書をはじめ数多くの洪水神話の元祖が、このシュメール神話のようです。


ハワイの大洪水神話

ハワイにも旧約聖書によく似た大洪水神話があり、ヌウ(Nu'u) がノアの役割をします。
このヌウの神話も、その元祖はメソポタミアのシュメールだったようです。

しかし、これからご紹介する、「ペレと大洪水」のお話しは、旧約聖書とは全く異なりペレが主人公です。
次回からは、フォーブスさんの「第3章 ペレと大洪水」のお話しを、順次ご紹介していきます。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) シュメールの大洪水は、紀元前2,900年頃と推定されています(放射性炭素年代測定による)。
(*2) シュメール神話とは、紀元前1,600年頃に書かれた "The Eridu Genesis"などをさします。