094 神話 ペレと大洪水(4.海を従えてハワイへ)

(前回からの続き)

夫を探す旅に出る

夫に捨てられたペレは、夫に腹を立て怒り狂いながら、自らも精神的にひどく傷つきました(*1)(*2)。
そして、自分を傷つけた夫を探す旅に出て、ハワイの方にやって来たのです。

さて、その頃のハワイの島々は、広漠とした荒れ地でした。

そこには、海と言うものがありませんでした。
さらに、川を流れる水も無かったのです。

海を従えハワイへ向かう

ペレが旅に出ようとすると、両親は彼女に海を与えました。
その海が彼女に付き添い、彼女の乗るカヌーを浮かべて進むのです。

こうして彼女は、海が生んだ洪水の中をカヌーで進み、パクエラの地に着きました。
そして、そこからさらに進んで、カナロアの地に向かいました(*3)。


彼女は頭から海を前に噴(ふ)き出しながら、進んで行きました。
そしてこの時に、彼女の兄弟たちが、あの有名な古い歌を詠(よ)んだのです。

『 おお海よ、偉大なる海よ!
  海を前へ噴き出せ。
    見よ、海がカナロアの上に噴き出ている! 』




(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales.
(*2) A.Fornander and T.G.Thrum(1918): Fornander Collection of Hawaiian Antiquities and Folk-Lore,2nd Series, Memories of the Bernice Pauahi Bishop Museum, Vol.Ⅴ,Bishop Museum Press 1918-1919.
(*3) カナロアは、ハワイでは4大神の一柱に数えられ、海の神とされています.