102 神話 ペレとカハワリ(6.亀裂を越え妹に会う)

(前回からの続き)

地面の亀裂を渡る


溶岩の塊が、すぐ近くまで転がって来ます(*1)。
その中を、カハワリはひたすら走り続けました。

すると、目の前の地面が、深く裂けているではありませんか。
この亀裂を渡らない限り、もうこれ以上進めません。

彼は、すぐさま手にした槍(やり)を振りかざし、亀裂の上に渡しました。
そして、幅広の槍の上を歩くことで、安全に亀裂を渡り切ったのです。

友達を助ける

ほっとして振り返ると、彼の友達が大声で助けを求めています。

これを見た彼は、亀裂の向こう側の友達に、槍を差し出しました。
そして友達がつかんだのを見ると、慎重にこちら側に引き寄せました。

こうしている間も、女神ペレは彼らに迫り続けています。
彼女は勢いを増しながら、亀裂の中を下って来たのです。

妹に会う


彼はさらに走り続けて、クラに着きました。
そしてそこで、妹のコアイに会いました。

しかし、その時はもう、たった一言、声がけする時間しかありませんでした。

「アロハ・オエ (ああ、悲しいかな!)(*2)」

と言うが早いか、海辺に向かって走り去りました。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅳ. Pele and Kahawali.
(*2) 「アロハ(Aloha)」は挨拶の言葉ですがその意味は多様で、日本語の「こんにちわ! さようなら! 悲しいかな!」などに対応します。原文(*1)ではハワイ語(Aloha oe!)に、英語(Alas for you!)がカッコ書きで付記されています。