105 民話 ヒクとカウェル(1.はじめに)

(新しいお話しの始め)

スラムさんの著書「ハワイの民話」の第Ⅴ章は、「ヒクとカウェル」 です(1)。
この部分の執筆者はエマーソンさんです。

本文に入る前に、お話しの舞台と主な登場人物を、簡単に説明しましょう。

お話の舞台

フアラライ山(Hualalai)



ハワイ島第2の都市カイルア・コナを、すぐ背面から見下ろしているのが、フアラライ火山です。
高さ2,521mで、ハワイ島で3番目、ハワイ州全体でも4番目に高い山です。

この山は恥ずかしがり屋で、特に午後には雲に覆われ、その姿を隠してしまうと言われます。


山腹には、ハワイの有名ブランド、コナ・コーヒーの農園が広がります。
また、この山が噴火して出来た溶岩台地の上に、コナ国際空港が建設されました。

主な登場人物

ヒク(Hiku)
ヒクはフアラライ山頂でたった1人、母ヒナのもとで育てられました。

彼は成長して立派な青年になりましたが、ハワイ神話で言うクプア(kupua)でした。
クプアとは半神(はんしん)のことで、神と人との間に生まれた存在です。

なお、ハワイで最も有名な半神はマウイで、太陽を捕まえたり火をもたらすなど、文化英雄としても活躍します。

カウェルKawelu
カウェルは大変美しく魅力的な女性で、カイルア・コナの南、ホルアロアに住んでいました。
彼女の父親は、ハワイ島西部を占めるコナの首長(アリイ)です。

(次回に続く)
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(注記)
(*1) Thomas G. Thrum(1907): Hawaiian Folk Tales, Ⅴ. Hiku and Kawelu, J.S. Emerson.